墨はおもに書道や習字で使われる事が多く、書初めなど日本の文化には欠かせません。
お子さんのいらっしゃる家庭では、学校で習字の授業があるので家で練習されることもありますよね。
しかし、気をつけていても「思わず床に墨汁をこぼしてしまった…」「墨が跳ねて飛びちり壁についてしまった…」なんてことも多々あると思います。
やべwww壁にめっちゃ墨飛んだわwww pic.twitter.com/LMjynfvPoZ
— 雪ん子。 (@yuki_n_ko_) December 9, 2013
去年壁に描いたのがまだ残ってるw
墨だから落ちる方がおかしい
家の壁紙っぽいし(´<_` )フッ pic.twitter.com/pEUQiFSxcx— ぼっちぅにクロ子低浮上 (@Yozora289) November 14, 2013
そこで今回は、『床や壁についてしまった墨の落とし方』についてご紹介していきます。
困った際にはぜひご参考にしてみてください!
目次
墨の汚れの特徴
墨の主な成分は、煤(すす)と膠(にかわ)です。
墨の主成分
- 煤(すす)松の木や植物油などを燃やした煙から採れたもので、墨の黒色はこの煤の色です。
- 膠(にわか)牛や豚などの動物の皮や骨に含まれる、コラーゲンを原料としたタンパク質です。膠は、水をはじく性質がある煤を水に馴染ませるための、接着剤の役割があります。
※この煤と膠を練り固めたものが固形墨。これを硯で水と磨ると墨汁になります。
市販の墨汁には、この煤と膠のほかに石灰や防腐剤などが混ぜ合わせてあります。
水だけで汚れをおとそうとすると膠や石灰、防腐剤はながれ落ちていくものの、水をはじく煤だけが繊維に残ってしまい、時間とともに繊維の奥にはいりこんでしまうため、汚れが落ちないのです。
墨汚れが付いたら応急処置が大切‼
墨で汚してしまった場合、一番大切なことは「すぐに水で洗うこと」です。
墨は乾ききってしまうと汚れは落ちにくくなるので、乾く前にその場で応急処置をすることがポイントです。
応急処置は、以下の手順を参考に行いましょう。
【用意するもの】
✔ 歯ブラシ
✔ 歯磨き粉
✔ タオル
手順
- まず汚れが乾かないうちに水で流します。
- 歯磨き粉をつけた歯ブラシでやさしくこすります。
- 汚れがとれたら最後に水で濡らしたタオルでふきとりましょう。
万が一の汚れに備え、墨を使う道具セットの中に、歯磨き粉と歯ブラシを常備しておくと安心ですね。
それでも時間が経って落ちなくなってしまった汚れに対しては、次の方法を試してみてください。
床や壁についた墨の落とし方
①歯磨き粉を使う方法
歯磨き粉に含まれる研磨剤の効果で、墨の汚れを落とします。
また、歯磨き粉の代用としては、粉末のクレンザーも同じ働きがあります。
この方法は乾ききる前の汚れには効果を発揮しますが、時間が経ってしまった汚れには効きづらいです。
【用意するもの】
✔ 歯磨き粉
✔ 歯ブラシ
手順
- 汚れの部分を水で濡らします。濡らしたタオル等で湿らせましょう。
- 歯磨き粉を歯ブラシにのせて、汚れをこすります。
- 落ちにくいときは、トントンと叩くようにこすりましょう。
- 最後に乾いた布でふきとります。
②ご飯粒を使う方法
ご飯粒に含まれるデンプンが、煤の細かい粒子を吸着する働きがあります。
またご飯粒の代用として、デンプン糊でも同様の効果が期待できます。
【用意するもの】
✔ ご飯粒
手順
- 汚れの部分に、ひとつまみのご飯粒をこすりつけます。(※ご飯粒が固いときは少量の水を足して粘り気を出しましょう)
- 米粒が黒くなってきたら、水で洗いましょう。(水を含んだタオルでふきとっても良いです)
- 再び、ご飯粒をつけ塗りこむようにこすりつけます。
- 米粒が黒くなるたびに、2、3の手順を繰り返します。
- 汚れが薄くなったら、仕上げに石鹸や中性洗剤で洗います。
③マジックリンを使う方法
マジックリンはアルカリ性洗剤です。
アルカリは墨に含まれているタンパク質を分解し、油と反応して石鹸のような働きに変わります。
そこに固形石鹸をあわせてつかうことで、煤の汚れを落としていきます。
マジックリンは強アルカリ性のため、壁紙を傷めないよう必ず2~3倍の水で薄めて使用しましょう。
【用意するもの】
✔ マジックリン(台所用の油汚れ用)
✔ 固形石鹸(ウタマロなど)
✔ スプレーボトル
✔ 布
手順
- マジックリンを2~3倍の水で薄めた液体をスプレーボトルに入れ、汚れ部分に吹きかけます。
- その上から、石鹸をこすりつけます。
- 水を絞った布でふき取ります。
- 2~3の作業を汚れが落ちるまで繰り返します。
④墨専用の染み抜き剤を使う方法
スミノンという墨汁を落とすための専用の洗剤があります。
コストはかかりますが、専用の洗剤なので、墨汁を使用する機会が多い場合はあると便利でしょう。
【用意するもの】
✔ 墨専用の染み抜き剤
✔ 歯ブラシ
手順
- 汚れ部分にまんべんなく染み抜き剤をつけます。
- その上から歯ブラシでやさしくこすります。
- ティッシュペーパーでふき取り、水でよく流します。
⑤重曹と住居用洗剤を使う方法
弱アルカリ性の重曹には、油汚れを落とし研磨する効果があります。
住居用洗剤とあわせて使うことで、重曹の効果が高まります。
コストはかかりますが、専用の洗剤なので、墨汁を使用する機会が多い場合はあると便利でしょう。
【用意するもの】
✔ 重曹
✔ 住居用洗剤
✔ 歯ブラシ
手順
- 住居用洗剤を汚れの部分につけ、その上に重曹をこすりつけます。
- 歯ブラシで優しくこすります。
- 水で流します。(または濡らしたタオルでふきとります)
⑥オキシクリーンを使う方法
オキシクリーンは粉末の酸素系漂白剤です。
この中に含まれる界面活性剤が発生させる酵素の力が汚れに効果的です。
手荒れの危険がありますので必ず手袋を装着しましょう。
【用意するもの】
✔ オキシクリーン
✔ 洗濯用洗剤
✔ 歯ブラシ
手順
- 洗濯用洗剤を汚れの部分につけ、上からオキシクリーンをこすりつけます。
- 歯ブラシで優しくこすります。
- 水で流します。(または濡らしたタオルでふきとります)
⑦キッチンハイター泡タイプを使った方法
キッチンハイターは塩素系の漂白剤なので、汚れを除菌、漂白する働きがあります。
ただし色柄物には、色落ちしてしまいますので使用できません。
【用意するもの】
✔ キッチンハイター泡タイプ
手順
- 汚れの部分に直接キッチンハイター泡タイプを吹きかけます。
- そのまま30分放置します。
- 時間が経つと汚れが落ちているので、最後に水で洗い流すか、水を絞ったタオルでふきとります。
⑨メラミンスポンジを使用する方法
メラミンスポンジは細かい無数の網目で構成されており、墨の汚れにたいして削りながら汚れを落としていく研磨剤の役割をはたします。
壁紙によっては、材質がメラミンスポンジよりも柔らかい場合、壁紙を傷つけてしまいますので、そのような壁には使わないでください。
【用意するもの】
✔ メラミンスポンジ
手順
- メラミンスポンジに水を含ませ、よくしぼります。
- 汚れ部分をこすっていきます。
墨の汚れを防ぐための対策
①簡単に落とせる墨汁を使用する
簡単に落とせる墨汁が販売しています。
こちらの墨汁は、家庭で普段から使われている漂白剤と洗剤で簡単に落とせます。
また、墨汁が飛び散りにくい工夫がされていますので、墨を使用する頻度が高い場合、このような墨汁を使うと便利だと思います。
②作業前のひと手間と墨の取り扱い
墨を使用するときは、まわりに新聞紙をひいたり貼ったりしておきましょう。
準備のひと手間で、汚れ具合がずいぶんと変わってきます。
また、墨を取り扱うときは、激しい動きはせず落ち着いて、ゆったりと作業しましょう。
勢いで墨が飛び散るのを防げます。
③汚れが付いたら早めの処置が大切!
気を付けていても、万が一汚れがついてしまった場合は、応急処置として汚れが乾かないうちに水で流し、歯磨き粉をつけた歯ブラシでやさしくこするだけで落とせます。
墨を使う道具セットの中に、歯磨き粉と歯ブラシを常備しておくと安心でしょう。
まとめ
まとめ
✔ 墨の汚れを落とすのに大切なポイントは、「汚れが乾いて固まる前に洗い落とすこと」。
✔ 布で汚れを広げてしまわないように、気を付けながらそっと拭いて、それから汚れを薄めるように水で洗うと良い。
✔ それでも落ちなかった場合は、墨に含まれている煤の微粒子が繊維の奥にはいりこんでしまっているのが原因。その汚れは以下の方法で落とす必要がある。
✔ 【歯磨き粉を使う方法、ご飯粒を使う方法、マジックリンを使う方法、墨専用の洗剤を使う方法、重曹と住居用洗剤を使う方法、オキシドールを使う方法、キッチンハイター泡タイプを使う方法、メラミンスポンジを使う方法】を試してみてください。