速乾性があり気軽に塗装ができる「ラッカースプレー」。
スプレー塗料だと広範囲が一度に塗装できて便利ですよね。
ラッカースプレーは臭いが強いため、屋外で作業することが多くなりますが、突然の風で、近くに停めていた車にラッカースプレーがついてしまうこともあります。
大事な車にラッカースプレーがついてしまうと困りますよね。
そこで今回は、車についたラッカースプレーの落とし方をご紹介します。
ぜひ、参考にして下さいね。
目次
ラッカースプレーの成分と汚れを落とす際のポイント
ラッカースプレーには速乾性があります。それは、揮発性の高い有機溶剤を使用しているからです。
ラッカースプレーはその有機溶剤が蒸発することで、塗装面に定着します。その際、化学反応は起こりません。
ですから、揮発した有機溶剤に近い性質の溶剤を使用すると、再び塗料が溶けて落としやすくなります。
しかし、そのような有機溶剤はゴムやプラスティックも溶かしてしまいます。
車にはいろんな材質の部品が使われています。
車についたラッカースプレーを落とす作業で車自体を傷めてしまわないように、ラッカースプレーを落とす作業に入る前に、ラッカースプレーが付着した部分の材質も確認しなくてはいけません。
車についたラッカースプレーの落とし方【ボディの場合】
現在、新車の塗装には焼付塗装が施されることが一般的です。
塗装は熱で硬化する塗料を使っていますので、出来上がった塗膜は強くなります。
そのため、車についたラッカースプレーを落とす際に、ラッカーシンナーなどの有機溶剤を使用しても、本来の塗装面に深刻な影響を及ぼす心配はあまりありません。
ただ、車の塗装は購入した際には高い耐久性はありますが、再塗装した部分や時間が経ち劣化した塗装は、有機溶剤を使用すると傷みやすいです。
そのため、心配であれば、あまり目立たない部分で試してみてから、ラッカースプレーを落とす作業に入って下さい。
車にコーティングを施している場合は、ラッカースプレーを落とす作業によってコーティングが取れてしまう可能性があります。その際は、再びコーティングすることできれいな状態に回復できることもありますので、試してみて下さい。
①粘土クリーナー
粘土クリーナーは車についた鉄粉を取るために使われますが、鉄粉だけではなく、鳥の糞など油汚れを取る効果もありますので、ラッカースプレーを落とすことができます。
粘土クリーナーにはコンパウンドが入っている製品と入っていない製品がありますが、車についたラッカースプレーの状態に合わせて、使用する製品を選んで下さい。
また、コンパウンドは研磨剤なので、コンパウンド入りの粘土クリーナーで車のボディを強くこすると塗装面が傷ついてしまいます。力加減に注意して作業して下さい。
【用意するもの】
✔ 粘土クリーナー
手順
水を流しながら、ラッカースプレーがついた部分に粘土クリーナーを滑らせ汚れを落とします。
②コンパウンド
コンパウンドは車についた傷を目立たなくするための研磨剤です。
車についたラッカースプレーを削り取ることができます。
ただ、ラッカースプレーがついた周囲の塗装も一緒に研磨することになります。ラッカースプレーが付着した周辺に鉄粉や汚れがついていると、作業中にそれらの汚れがスポンジに付着し塗装面を傷つける可能性があります。
そのため、コンパウンドを使用する前に水などで汚れを洗い流しておくと良いでしょう。
【用意するもの】
✔ コンパウンド
✔ 仕上げ用コンパウンド
✔ スポンジ
✔ 布
手順
- スポンジを水に浸しコンパウンドを少量つけます。
- ①で車についたラッカースプレーを軽く磨きます。
- ラッカースプレーが落ちたら、コンパウンドが残らないように布で拭き取ります。
- コンパウンドで磨いた部分を仕上げ用の細かいコンパウンドで磨きます。
- ④を布で拭き取ります。
③シリコンオフ
シリコンオフは車についた油汚れを落とすために使われます。
その成分は有機溶剤なので車についたラッカースプレーを落とすことができます。
シリコンオフはシリコンリムーバーの名前でも市販されています。
スプレータイプやシートタイプがあります。広範囲にラッカースプレーがついた場合はスプレータイプがオススメです。
【用意するもの】
✔ シリコンオフ
✔ マイクロファイバークロスなど糸くずの出ない布
手順
- シリコンオフをラッカースプレーがついた部分につけます。
- マイクロファイバークロスで車についたラッカースプレーを拭います。
- ラッカースプレーが落とせたら、車に残ったシリコンオフをマイクロファイバークロスできれいに拭い取ります。
※シリコンオフは引火性が高いですので、火器に注意して使用してください。
④パーツクリーナー
パーツクリーナーは金属部品の油汚れを洗浄するために使われています。
シリコンオフより強力な有機溶剤を使用しており、基本的にはプラスティックやゴム製の部品には使えません。
作業する周辺にプラスティックやゴム製の部品がある場合は、パーツクリーナーが付着しないように気をつけて作業して下さい。
車の塗装が劣化している場合、パーツクリーナーで塗装が変色することがあります。
心配でしたら、プラスティック部品に使えるパーツクリーナーを使用するか、目立たないところで試してからお使いください。
【用意するもの】
✔ パーツクリーナー
✔ クロス
手順
- パーツクリーナーをラッカースプレーがついた部分に吹きつけます。近くにプラスティックやゴム製の部品があるときはパーツクリーナーをクロスに吹きつけます。
- クロスで車についたラッカースプレーを拭います。
- ラッカースプレーが落とせたら、車に残ったパーツクリーナーをクロスできれいに拭い取ります。
※パーツクリーナーは引火性がありますので、火器に注意して使用してください。また、人体に有毒な成分が入っていますので、保護具を付けるなど吸い込まないように気をつけて作業して下さい。
⑤ラッカーシンナー
ラッカーシンナーはラッカー塗料を希釈するときに使う有機溶剤です。
ラッカー薄め液とも言われます。ラッカー塗料を塗った後の道具の洗浄にも使われるように、ラッカー塗料を溶かす働きがあります。
そのため、車についたラッカースプレーを落とすことができます。
作業する周辺にプラスティックやゴム製の部品がある場合は、溶けて変色・変形してしまう恐れがありますので、ラッカースプレーが付着しないように気をつけて作業して下さい。
また、再塗装や劣化した塗装面にラッカーシンナーを使用すると、車の塗装まで剥げてしまう可能性がありますので、目立たないところで試してからお使いください。
【用意するもの】
✔ ラッカーシンナー
✔ 布
✔ 手袋
手順
- 手袋を着用し、布にラッカーシンナーを染み込ませます。
- ①で車についたラッカースプレーを拭い取ります。
- ラッカースプレーがきれいに取れたら、車についたラッカーシンナーを布で拭き取ります。
⑥専門業者に相談する
自分でラッカースプレーを落とすことが難しい場合は、自動車板金工場などの専門業者に相談することをおすすめします。
ラッカースプレーがついた場所が広範囲な場合や車を傷めずきれいにラッカースプレーを落としたい場合は、無理せず専門家に頼みましょう。
車についたラッカースプレーの落とし方【フロントガラスやドアガラスの場合】
フロントガラスに撥水加工を施してある場合、ラッカースプレーを落とす作業で撥水加工も取れてしまう可能性がありますので、使用しないようにしましょう。
①ガラス用コンパウンド
ガラス用コンパウンドはガラスについた油膜の除去のために使われます。
ガラス用の研磨剤なので、ガラスを傷つけずに車のガラスについたラッカースプレーを削り取ることができます。
ただ、ラッカースプレーがついた周囲の塗装も一緒に研磨することになります。
ラッカースプレーが付着した周辺に鉄粉や汚れがついていると、作業中にそれらの汚れがスポンジに付着しガラスを傷つける可能性があります。
コンパウンドを使用する前に水などで汚れを洗い流しておくと良いでしょう。
【用意するもの】
✔ ガラス用コンパウンド
✔ スポンジ
手順
- スポンジを水に浸しガラス用コンパウンドを少量つけます。
- ①で車についたラッカースプレーを軽く磨きます。
- ラッカースプレーが落ちたら、コンパウンドが残らないように水で洗い流します。
②シリコンオフ、パーツクリーナー、ラッカーシンナーなどの有機溶剤
シリコンオフとパーツクリーナーは車の油汚れを落とすための有機溶剤です。
一般的にシリコンオフよりパーツクリーナーの方が強力な溶剤です。ラッカーシンナーはラッカー塗料を希釈するときに使う有機溶剤です。
どれも油を溶かす働きがありますから、車についたラッカースプレーを落とすことができます。
有機溶剤を使用する際は、ガラスの周囲にあるゴムやプラスティック部品にラッカーシンナーがかからないように注意して作業して下さい。
【用意するもの】
✔ 有機溶剤
✔ 布
✔ 手袋
手順
- 手袋を着用し、布に有機溶剤を染み込ませます。
- ①で車についたラッカースプレーを拭い取ります。
- ラッカースプレーがきれいに取れたら、車に有機溶剤が残らないように布で拭き取ります。
※有機溶剤は引火性がありますので、火器に注意して使用してください。また、パーツクリーナーとラッカーシンナーは人体に有毒な成分が入っていますので、保護具を付けるなど吸い込まないように気をつけて作業して下さい。
車についたラッカースプレーの落とし方【プラスティック製の部品の場合】
バンパー、ヘッドライトカバー、ホイールキャップ、サイドミラーなどプラスティック製の部品にラッカースプレーがついた場合、プラスティックを溶かす有機溶剤は使用できません。
そのため、プラスティック製の部品には、シリコンオフもしくはプラスティックセーフのパーツクリーナーを使用しましょう。
シリコンオフは車についた油汚れを落とすために使われています。
成分は有機溶剤ですが、同じ油汚れを取るためのパーツクリーナーと比べるとシリコンオフの方がプラスティックを傷めません。
また、シリコンオフの製品の中にはプラスティックの中でもポロプロピレンに使用できると明記してある製品があります。ポリプロピレン以外のプラスティックに対しては目立たない部分で試してから使って下さい。
パーツクリーナーの一部の製品はプラスティックにも使用できます。プラスティックセーフなど記載がありますので商品パッケージを確認して使って下さい。
【用意するもの】
✔ シリコンオフもしくはプラスティックセーフのパーツクリーナー
✔ マイクロファイバークロスなど糸くずの出ない布
手順
- シリコンオフをラッカースプレーがついた部分につけます。
- マイクロファイバークロスで車についたラッカースプレーを拭います。
- ラッカースプレーが落とせたら、車に残ったシリコンオフをマイクロファイバークロスできれいに拭い取ります。
※シリコンオフ、パーツクリーナー共に引火性がありますので、火器に注意して使用してください。
車についたラッカースプレーの落とし方【ゴム製の部品の場合】
タイヤやワイパーのゴムなど、車のゴム製部品にはゴムを溶かす有機溶剤は使用できません。
ワイパーゴムの場合
ワイパーゴムの交換時期の目安は一年です。自分で交換することもできるので、ラッカースプレーが目立つ場合、交換を検討するのも良いでしょう。
シリコンオフやプラスティックセーフのパーツクリーナーであれば、ゴム部品に対して影響が少ない製品もあります。
ワイパーゴムを交換する前に、それらを試してみるのも良いでしょう。
シリコンオフもパーツクリーナーも車についた油汚れを落とすために使われています。
成分は有機溶剤なのでラッカースプレーを落とすことができます。
【用意するもの】
✔ シリコンオフもしくはプラスティックセーフのパーツクリーナー
✔ マイクロファイバークロスなど糸くずの出ない布
手順
- シリコンオフをラッカースプレーがついた部分につけます。
- マイクロファイバークロスで車についたラッカースプレーを拭います。
- ラッカースプレーが落とせたら、車に残ったシリコンオフをマイクロファイバークロスできれいに拭い取ります。
※シリコンオフは引火性が高いため、火器に注意して使用してください。
タイヤの場合
タイヤにラッカースプレーがついた場合、付いた場所が地面と接する部分であれば、走行しているうちに自然とラッカースプレーは落ちていきます。
①マイナスドライバーやサンドペーパーで削る
タイヤの溝にラッカースプレーがついた場合はマイナスドライバーを使って削り落とすことができます。
タイヤの側面に少量のラッカースプレーがついた場合は目の細かいサンドペーパーで削り落とすことができます。
しかし、タイヤの側面は薄い構造で衝撃に弱いです。削り過ぎると走行するときに危険ですので、慎重に作業して下さい。
【用意するもの】
✔ マイナスドライバーもしくはサンドペーパー
✔ 軍手
手順
マイナスドライバーやサンドペーパーでタイヤについたラッカースプレーを削り落とします。
※タイヤ自体を傷つけないように注意して作業して下さい。
②専門業者に相談する
自分でタイヤについたラッカースプレーを落とすことに不安がある場合やラッカースプレーがタイヤに大量についた場合は、ディーラーや専門業者に相談して下さい。
タイヤは安全に走行するために重要な部品です。無理に自分で作業しないことをおすすめします。
作業をする上での注意点
ラッカースプレーが車の塗装面についた場合、ついつい力を入れてこすってしまいがちです。
しかし、力を入れると元の塗装まで傷ついてしまいますので、ラッカースプレーを落とすときは軽く優しい力で作業して下さい。
塗装面のラッカースプレーを落とした後は、塗装面が雨や汚れに対して脆弱な状態になっています。
さいごにワックスやコーティング剤で保護するようにしましょう。
まとめ
まとめ
✔ ラッカースプレーを落とす作業に不安があれば専門業者に相談する。
✔ ボディについたラッカースプレーは粘土クリーナー、コンパウンドで落とすことができる。
✔ ボディについたラッカースプレーはシリコンオフ、パーツクリーナー、ラッカーシンナーといった有機溶剤で落とすことができる。
✔ ガラス製部品についたラッカースプレーはガラス用コンパウンドまたは有機溶剤で落とすことができる。
✔ プラスティック製部品についたラッカースプレーはシリコンオフもしくはプラスティックセーフのパーツクリーナーで落とすことができる。
✔ ゴム製部品についたラッカースプレーはシリコンオフもしくはプラスティックセーフのパーツクリーナーで落とすことができる。
✔ タイヤについたラッカースプレーは削り取る方法もあるが専門業者に相談した方が安全。
✔ ラッカースプレーを落とす作業でコーティングも取れる。