
外壁や玄関の床にタイルを貼るときによく使われるセメントは、丈夫な反面一度固まってしまうと中々落とせない材質でもあります。
そんなセメントは、タイル貼りの施工後に・・・
「セメントを拭き忘れてタイルに付着したまま固まってしまった…」
「セメントが溶け出してタイルに白い汚れがついてしまった…」
という方も多いのではないでしょうか?
大切なタイルにセメント汚れがついたら、かなりショックですよね。
そこで今回は、簡単にできるタイルについたセメント汚れの落とし方をご紹介します。
セメント汚れにお困りの方は、ぜひ参考になさってください!
目次
セメント汚れの特徴とは?
セメントはコンクリートやモルタルを原料とする粉末で、水で練って型に流し込み乾かすことで硬化し接着剤の役割を果たします。
セメントはタイル貼りや補修作業に使われるだけでなく、鉢植えを作ったりなど様々なDIYの材料として一般の人々にも出回っていますね。
そんなセメントの汚れには大きく分けて2つあります。
セメント汚れはこの2種類!
1つ目は、「セメントそのものがタイルについたまま硬化してしまった場合の汚れ」です。
この汚れの場合はセメントが固まってしまうと中性洗剤はもちろん、ブラシを使っても除去できないのでセメントの部分を削り落とすしかありません。
2つ目は、「セメントの成分が雨水などに溶け出してタイルに白いシミを作ってしまう汚れ」です。
これは白華現象と呼ばれ、セメントの成分である水酸化カルシウムが雨水でタイルに溶け出して乾燥するのを繰り返すことで、白い汚れができます。
この汚れはブラシやクレンザー、中性洗剤を使ってもあまり効果がありません。
この汚れの場合はタイルに撥水加工を施したり、コーティングをすることで目地に水が染み込まないようにすれば予防することができます。
セメントの汚れを落とすポイントは「セメントの成分」にあります。
セメントには様々な種類がありますが、その多くがアルカリ性です。
そのため、セメントの汚れを落とすには「酸性の洗剤で中和しながら落とす方法が有効な手段」となります。
タイルについたセメントの落とし方
タイルについたセメントの落とし方にはいくつか方法があります。
大まかな方法としては、「薬剤を使って汚れを中和する方法」と「汚れ自体を削って除去する方法」です。
薬剤を使った方法は主に白華現象の汚れに、削り落とす方法はセメントがタイルの上で固まった場合に使います。
①白華現象のセメント汚れを除去する方法
白華現象のセメント汚れを除去するのには専用のクリーナーも販売されているので、こちらを使用した方法が一番確実にセメント汚れを除去することができます。
専用のクリーナーが手元にない場合はサンポールなどの酸性の洗剤や塩酸、クエン酸でも代用できます。
【用意するもの】
✔ サンポール、塩酸、クエン酸などの酸性の溶液
✔ ブラシ、刷毛
✔ 水
手順
- タイルの除去したいセメント汚れの部分にサンポールを垂らします。
- サンポールをブラシや刷毛で広げて5分ほど放置します。
- さいごに、水で洗い流しましょう。
セメントには様々な種類がありますが、多くの種類はアルカリ性です。
そのため、サンポールや塩酸を汚れ部分につけることでアルカリ性が中和されて白いセメント汚れを除去することができます。
ただし、酸性の液体は長時間つけすぎるとタイルが黄ばんでしまうことがあるので、目立たない場所で試してみてから使うようにしましょう。
また、長時間液体をつけたまま放置しないようにすることも大切です。
【CHECK!!】
代用品として塩酸を使う場合は、水と塩酸を3:1で薄めて使用するようにしましょう。
クエン酸も同じく水で薄めて使用します。溶液を塗布した後に擦るとタイルに傷がついて溶けてしまうので、擦らないようにしましょう。
壁の汚れを取りたい場合には、いらない布に酸性の溶液を染み込ませてから湿布をするように貼り付けて使用しましょう。
②タイルに付着して固まってしまったセメントを除去する方法
タイルにセメントが付着して固まってしまった場合は、セメントを本体を融解させることはできないため、セメント剥がし剤を使用して汚れを浮かせてから削り取ります。
セメント剥がし剤は上記の白華現象の汚れを落とす方法と同じく酸性の洗剤や塩酸、クエン酸を代用として使うことができます。
【用意するもの】
✔ スクレーパー
✔ サンポール、塩酸、クエン酸などの酸性の溶液
✔ 水
✔ ブラシ、刷毛
手順
- 落としたいセメント汚れの部分にサンポールなどを垂らします。
- 刷毛やブラシで溶液を広げで5分ほど放置します。
- 水で溶液を落としてからスクレーパーでセメント汚れを削り落とします。
汚れが広範囲でなかなか落とせない場合は、いらない布やティッシュなどに酸性の溶液を染み込ませてシップのように汚れに貼り付けて10分ほど放置しましょう。
力を入れて削りすぎるとタイルに傷がついてしまうので、一気に剥がそうとせず少しずつ剥がしていくことをおすすめします。
また、水飛沫がついたようたような細かくて小さなセメント汚れを除去したい場合は、綿棒などに酸性の溶液を染み込ませて汚れ部分を擦ると簡単に落とすことができます。
タイルについたセメントの汚れを除去する時の注意点
タイルについたセメントの汚れを落とす時にはいくつか注意点があります。
汚れを落とすためには強い薬品を使うので取り扱いには注意しましょう。
①作業中はしっかりと換気を行う
タイルについたセメントの汚れを除去するときに塩酸やサンポールを使う場合には、十分に換気をすることが大切です。
特に塩酸とセメントが中和反応を起こすと有害なガスが発生する場合があるので、密室での作業は危険です。
絶対に密室では行わないでください。
そのため、作業中はマスクを着用し、室内の場合は窓を開けましょう。
また、作業中に気分が悪くなったら作業を中止して休むようにしましょう。
②作業中には手袋をする
酸性の液体は皮膚を溶かすことに加えて、スクレーパーを使用するときに思わぬ事故から手を怪我することもあります。
作業をするときには必ず手袋を着用しましょう。
③タイルの黄ばみに注意
上記の白化現象によるセメント汚れを落とす方法にもありますが、酸性の溶液は使用するとタイルが黄ばんでしまうことがあります。
そのため、酸性の溶液を使用するときは隅っこなどの目立たない場所に塗布して試してみてから実行しましょう。
また、長時間酸性の溶液をタイルに塗布すると黄ばみが濃くなるので、長時間の放置はしないようにすることが大切です。
そして、酸性の溶液を洗い流すときは水で溶液の成分が残らないようにしっかりと流しましょう。
④酸性の溶液を塗るときは部分的に行なう
セメント汚れを除去する場合、酸性の溶液をタイルに塗布するときは汚れている部分だけに溶液を塗るようにしましょう。
広範囲に酸性の溶液を撒いてしまうと汚れていないタイルの目地を溶かしてしまいます。
床や壁全体が傷んでしまうので十分注意しましょう。
⑤セメントの汚れを落とすときはクレンザーの使用はNG
クレンザーは細かいスクラブが入った洗剤で、研磨の役割があります。
そのため、クレンザーで汚れを落とそうとしてタイルや目地を擦ってしまうと、汚れが落ちないだけでなく、タイルや目地を傷つけてしまいます。
セメント汚れを落とすときには、クレンザーは使用しないようにしましょう。
まとめ
まとめ
✔ セメントの汚れの除去にはサンポールや塩酸、クエン酸などの酸性の溶液が有効。
✔ 固まったセメント汚れはスクレーパーで削るのがおすすめ。
✔ 作業中には換気を行い、手袋とマスクをする。
✔ 酸性の溶液はタイルを黄ばませる可能性があるので注意が必要。
✔ セメントの汚れにはクレンザーは使わない方が良い。