イ草の香りが特徴的な「畳」
天気の良い日、大の字で畳にごろり。日本人でよかった~と思う瞬間ですよね。
近年では新築住宅にも「畳スペース」「キッズスペース」などのちょっとしたスペースに畳が使われ、畳の注目度が高まっています。
今回はそんな畳のカビ発生原因やカビ防止法などをご紹介していきます。
目次
畳の特徴・役割り
①湿気の吸収・排出
畳の主成分である「天然イ草」。
イ草の内部は繊維と繊維の間に空気の空間がありスポンジ状になっており、ここに湿気を吸収します。
また室内が乾燥している場合は、ため込んだ湿気を排出し部屋の湿度を一定にする働きがあります。
この“湿気の吸収・排出”が本題のカビ発生に大きく関わっています
②空気の浄化
湿気の吸排出と同時にシックハウス症候群の原因ともいわれているホルムアルデヒドなど、空気中の有害物質を吸着する性質があります。
また吸着した有害物質を分解していく特性を持っています。
③吸音効果
畳には床材に「稲わら」が使用されることが多く、この稲わらがクッションの役割をしています。
稲わらの床材に含まれる空気が層になり、和室全体の音を吸収する役割を果たします。
④断熱・保温効果
イ草の特徴であるスポンジ状の構造により、空気の層に多くの空気を含むことができます。
冬は室内の温かい空気をしっかり蓄え逃さず、夏は外からの空気を遮断する働きがあります
⑤リラックス効果
天然のイ草の香りに含まれている香りの成分は「天然の森林」と同じ成分が含まれているといわれています。
室内にいながら森林浴のような気分になれますね。
⑥殺菌作用
古来より天然イ草には「殺菌作用」があることが証明され「薬草」の部類に分類されていたそうです。
あらゆる菌に対して殺菌作用を発揮するわけではないのですが、人の足の臭いの原因となる微生物群の繁殖を抑制する働きが実証されています。
ですので畳の上を素足で歩いても、もちろん問題なしです。
このようにさまざまな特性があり、知れば知るほど魅力のある畳ですが、その反面【管理が難しい】と言われていることも事実です。
畳のカビの発生原因は?
温度が20~30度、湿度が75%以上の状態が継続的に続くと「カビ」発生にはもってこいの環境です。
▲日中は留守にしがちで部屋を閉め切っていることが多い
▲洗濯物の部屋干し
など、高湿状態が継続してしまうと畳の特性である湿気を吸収し続けてしまいカビが発生します。
また、和室を寝室やキッズスペースとして使用している場合、人の皮脂やほこり・食べかすなどが考えられ、それらを放置するとその畳はカビのパラダイスと化してしまいます・・・。
そこで日頃から行える簡単カビ予防法をご紹介していきたいと思います。
畳のカビ予防対策
①天気の良い日は直射日光を避け、窓を開け風通しを良くする。
畳のカビ最大の原因は「湿気」。
天気の良い日に畳のある部屋を換気することにより、畳が吸いすぎた湿気を放出し適度な乾燥状態に戻ります。
畳が本来持っている自然の力を生かし、カビ予防することが出来ます。
《共働きなどで昼間は留守なことが多く換気することが難しい》
という場合には週に2~3日でいいので「除湿機」や「エアコンの除湿機能」を使用して部屋を除湿させることで、晴れた日に窓を開けていることと同様の効果が期待できます。
②畳の上に常にラグやカーペットなどを敷かない
畳の上に物がある状態だと、本体畳の持っている湿気の吸排出機能を発揮することが出来ず、カビ発生の原因になります。
なるべく畳の上に物は置かず、風通しの良い環境を作りましよう。
③寝室として使用している場合は、万年床にしない
布団を敷いているから大丈夫!!と考えがちですが、これは大間違いです。
人は寝ている間に約500㏄の汗をかくと言われています。
畳の上に湿った布団が常に敷いてある場合、やはりカビの温床となってしまいます。
毎日、布団を干すことはなかなか難しいですが布団の上げ下げであれば誰でも簡単に毎日実践できますね
④押し入れに市販の除湿剤を設置する
見逃しがちな「押し入れ」ですが、カビの原因が「湿気」とあるように、畳の付近が湿気ていてはいくら畳を除湿しても意味がありません。
押し入れに市販の除湿剤を設置し、こまめに交換することで畳本来の機能を発揮する状態を手助けすることができ、カビを防ぐことが出来ます。
ここまで予防法をご紹介しましたが次は畳の手入れ(掃除法)について紹介したいと思います。
畳の日頃のお手入れ方法(掃除方法)
畳の大敵「皮脂・ほこり・食べかす」。畳もフローリングと同様掃除は「履く・拭く」が一般的です。
しかし、畳を掃除するにあたり重要なポイントがあります。
それは「目地」です。畳を履く・拭くどちらにしてもこの目地に逆らってしまうと掃除どころか畳を傷つけ、畳の劣化を早くさせしまう可能性があります。
ですので、すべての掃除は「目地に沿って」が基本です。
ここからはお手入れの手順をご紹介します。
【用意する物】
・掃除機(orほうき)
・お酢
汚れ
手順
1.まずは掃除機やほうきを使って大まかなごみを掃き出します。
※この際、畳を傷つけないよう優しく行ってください。
掃除機の場合、吸引の設定を「弱」に設定することをお勧めします。ほうきの場合もここぞとばかりに力を入れず、ほこりを優しく取り払ってください。
2.次に「お酢」を使った拭き上げを行ないます。お酢を10倍程度にお水で薄め、固く絞った雑巾で拭き掃除します。
「お酢」に含まれる殺菌成分がカビの発生を抑える効果があるといわれています。
しかし拭く相手は湿気に弱い「畳」です。
お酢に殺菌効果があるとはいえ水拭きはちょっと心配・・・。と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そこでおすすめなのが「消毒用アルコール」です。
最近では携帯できるようなハンドスプレーも発売されており、生活に身近な存在になってきていますよね!
そんなアルコールスプレーの揮発性を利用して畳の拭き上げを行います。
【用意する物】
・消毒用アルコールスプレー(エタノール70%以上のもの)
・乾いた布雑巾
汚れ
手順
✔ 畳にアルコールスプレーを噴射し、目地に沿って拭き上げます。
水ではなく、エタノール70%以上のアルコールスプレーを使用することにより揮発性に優れ畳に湿気を与えることなく拭き掃除することが出来ます。
生えてしまったカビの除去法!
カビを一秒でも早く取りたい!!すぐに行動に移せるのがやはり「水拭き」
これは、絶対にダメです。
カビは取れますがこれはカビが「見えなくなった」だけです。
畳の目地にはまだカビがいっぱい!!そこにカビの栄養分である「湿気」を与えてしまった状態になるので数日後にはもう・・・。大発生の可能性大です・・・。
次に「カビ取り剤」
カビといえば専用ですもの。塩素系のカビ取り剤が芯まで入り込み、根こそぎスッキリ!!
と、思いきや畳にカビ取りは御法度!!畳の変色や畳の劣化につながり絶対におすすめできません。
では具体的にはどのような除去方法があるのでしょうか?
おすすめなのが「消毒用アルコール」です。
最近では携帯できるようなハンドスプレーも発売されており、生活に身近な存在になってきています。
そんなアルコールスプレーを使用して畳のカビ取りをしていきます!!
【用意する物】
・消毒用アルコールスプレー(エタノール70%以上のもの)
・歯ブラシ
・歯ブラシのブラシ部分が浸かる深さのある容器(ペットボトルを切って使用しても)
・乾いたぞうきん
汚れ
手順
・カビに向かってアルコールスプレーを噴射します。(カビが湿るくらい)
・20~30分放置します。
・深さのある容器に歯ブラシのブラシ部分が浸かる程度のアルコールを入れ歯ブラシを浸します。
・放置時間の終了したカビに歯ブラシを当て、カビをこそげ取るように取ります。
・歯ブラシを容器の中で洗う。カビが取れるまで3~5を繰り返します。
・カビが取れたら再度アルコールスプレーを噴射し乾いたぞうきんでふき取ります。
この手順でカビが取れます。
カビ臭さが気になる場合は『お酢』
お酢を10倍程度にお水で薄め、固く絞った雑巾で拭くのもおすすめです。
※お酢には殺菌効果がありますのでこの場合水拭きでも大丈夫ですがなるべく固く絞るようにしてください。
しかし、黒カビの場合、アルコールスプレーだけでは色が抜けず畳の見た目が戻りません。
その場合おすすめなのが「重曹」と「酸素系漂白剤」です。
先にお伝えしたカビ取り剤は「塩素系漂白剤」と呼ばれ、色物の漂白などにはおすすめですが、畳には適しません。
そこで酸素系漂白剤の出番です。
重曹にも畳を変色させてしまう可能性があるので、使う場合は最小限の範囲に抑えましょう。
【用意する物】
・重曹
・酸素系漂白剤
・綿棒
・歯ブラシ
・乾いたぞうきん
汚れ
手順
1.重曹と酸素系漂白剤を1対1の割合で混ぜペーストを作ります。
2.綿棒で黒カビに乗せるようにペーストを塗布し、5~10分放置します。
3.歯ブラシでペーストを取り除き、乾いたぞうきんで乾拭きし終了です。
黒カビも意外と簡単に落とすことが出来ますよね。
まとめ
・カビの原因は多湿の継続や皮脂汚れ・ほこり・食べかすの蓄積によって発生する。
・窓を閉め切りの場合は除湿機やエアコンを活用し畳の除湿をする。
・基本の掃除は「掃く・拭く」。
・拭き掃除は「湿気」に注意。
・カビ対策には「お酢」や「消毒用アルコール」が効果的。
いかがでしたでしょうか?
私も家を建てる際に、畳の管理に自信がなく和室を作るかを迷いました。
しかし畳で日向ぼっこの夢が捨てられず思い切って和室を決断し、今では子供と一緒に和室でお昼寝が最高の癒し時間となっています。
疎遠になりがちな「畳」ですが、日頃の簡単な手入れで綺麗な状態を維持することができます。
ぜひ皆様にもご自宅でも実践していただけたらと思います。